うつ病の家事と育児2 母子心中回避へ
十勝保健師は、ボランティアで構成される有償家事援助グループを
紹介してくれた。
保健師図鑑2(十勝さん)保健師に動いてもらう方法 - そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー
非常に助かったが、サービス利用後も山あり谷ありだった。
うつ病の母親に取って待ったなしで降りかかってくる家事と育児は
非常につらく、負担になる。
それらに苦しめられ
母子で死んでしまおうという気持ちが身をもって痛いほど経験した。
一緒に死にたい気持ちを押しとどめるのに懸命な時期もあった。
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子供は目の前で泣いている。お腹をすかせている。遊んで欲しがっている。
おむつが汚れている。
動かなくてはいけないのに、やることは山ほどあるのに、体は怠くて重くて
いう事を聞かない。
散らかった部屋。溜まった洗濯物、放置された洗い物。
寝ても疲れは取れず、家事は溜まる一方。
今日をやり過ごせば済む話ではない。これは明日も明後日も続くのだ。
自分の無能さ、無力さに自己嫌悪に陥り、自らを激しく責める。
こんな母親は失格だ。子供がかわいそうだ。もういっそ死ぬしかない。
家事や育児の重圧、体や心の不調に押しつぶされて死を考えてしまう。
抱えているものが今の自分には重すぎる、多すぎるのだ。支えきれなくなり、
死しか逃げ道がないと思い詰めてしまう。
解決には、自分が背負っている物を他者に預けるしかない。
子と自分を離す。休息(出来れば入院)。治療。この三つが母子心中
回避への処方箋だと思っている。
私は自分の経験から母子心中は精神疾患を原因とするとばかり思っていたが
原因として「夫婦不和」「生活困窮」が理由になるケースも多いという。
「『親子心中』に関する研究(1) 」子どもの虹情報研修センター
https://www.crc-japan.net/wp-content/uploads/2021/03/h22_oyako.pdf
それらの要因が大きい場合には、入院や治療よりも夫婦関係の調整や、困窮解消への
道を探るのが先決かもしれない。
子供から、家庭から切り離された所で休養を取る。必要ならば医師の治療を
受ける。希死念慮が出ているのは、立派な治療対象だと思う。
それでリスクを大幅に回避できる。
子供からは離れるのだし、病院のスタッフは希死念慮の強い人間には気を
配ってくれる。
子供は夫や親族に預けられなければ乳児院、児童養護施設などの福祉施設
もある。
相談先だが、精神科医は目の前の患者の病気への治療に力を注ぐから、
子供をどうするかとか家事をどうするかまではあまり気を配ってくれない。
そもそも情報を持っていない。
を置いた病院であれば有用な情報を
提供してくれるかもしれない。
そうでなければ、自治体の福祉や児童担当部署、児童相談所、、福祉事務所、保健所などが窓口になるだろう。
保健師図鑑2(十勝さん)保健師に動いてもらう方法 - そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー
保健師図鑑3(金子さん)壊れたレコード - そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー
のようにあまり親身になってくれなかったり、持っている情報が不十分な
職員に当たる不運は考え得る。
役所がだめなら保健所、保健所がだめなら児童相談所のようにAがだめならB
へと交渉先を変えるのも手である。
保健師図鑑2(十勝さん)保健師に動いてもらう方法 - そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー
のように、当時者以外の第三者からの相談は効果が大きい。
とは言え、死んでしまおうとまで思い詰めている時に問い合わせ先を探したり、
実際に相談に行く負担の大きさは察するに余りある。
視野狭窄に陥り、思考能力は落ち、体は疲弊している。
しかし自分一人でその重荷を抱えていたらいずれはその下敷きになってしまう。
どうか自殺を決行するエネルギーを、瞬間だけでいいので他者への相談に
転換して欲しい。
重いのなら誰かに「重い」「背負いきれない」と訴えるだけでもいい。
保健師図鑑2(十勝さん)保健師に動いてもらう方法 - そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー
のように思わぬ道が開けるかもしれない。
私は常々育児に行き詰った母親の「110番」があればいいと思っている。
子供と離す。休養。治療。この三点セットを与えれば、
多くの母子心中を防ぐことができ、救われる命があると思っている。
最後に、切羽詰まった人への過激な、異論が出るような処方箋。
もし、子供を前にして母子心中を考えているのなら
子供に手をかける前に自分に刃を向けて欲しい。
子供が自分の一部のような気持ち、自分が死んだらその後子供は
どうなるのか、という心配はとても理解できる。
でも子供は死にたいとは言ってない。死にたいのはあなたなのだから。
死ぬのは怖い。痛い。そこで思いとどまって、踏みとどまって貰えたら。
刃物で自分を傷つけたら、薬物を服用したら、
痛みや苦しみで我に返るかもしれない。こんな痛い思いをさせるのは
不憫と思いとどまるかもしれない。怪我や服薬を知った家族が
事態の深刻さを認識し、動いてくれるかもしれない。
精神科でなくても病院に行くきっかけになり、
ひょっとしたら入院になって「子供と離れる」ことが
出来るかもしれない。
「死なないで済む程度」に自分に刃を向ける事が肝要なのだが。