そううつ色々図鑑ーメンヘラ歴1/4世紀ー

双極性障害持ちゆえに出会った色々な人たち、出来事について。精神科入院生活の有様。サイテーな家事・育児についても。

精神科入院生活

患者図鑑46 VIP患者

食堂で雑談していた時、「情報通」の島崎さんが「ねえ、W社って知ってるよね?」 と話を振ってきた。勿論、W社は誰もが知る大企業だ。 「男性棟の個室にW社の寺池社長が入院しているんだって」と言う。 私は思わず「えっ」と声を出してしまった。あの有名なW…

患者図鑑45 withマスク

コロナ禍の続く中、マスク姿は当たり前になった。しかし、私が入院している頃はそうではなく、病棟内でマスクをしている人は皆無だった。前に書いたように、風邪などに罹患すれば個室に隔離され、咳が出ないように、マスクが必要ない状態になってから解放さ…

患者図鑑44 未亡人

入院中に仲良くなった立川さんと千倉さんの共通点は、お二人とも夫を亡くされていた 事だった。それから重度のうつになり、なかなか回復できないのだと言う。 詳細は少し異なっていた。立川さんの場合は急死で、本当に突然の出来事だったのだとか。末娘の結…

患者図鑑43 院内エクササイズー淋しい回遊魚ー

病院にいると運動不足になりがちだ。作業療法でも体操のプログラムがあったが 週に一度数時間程度。たまに外部からヨガの先生が来る事もあった。 あとは、広いスペースは屋上だけなので、そこででバレーボールもどきをやっている人がいたり、屋上の塀にそっ…

患者図鑑41 病院の怪談その4

北野氏の話は古株の二人も知らなかった。かなり前の事でもあるし、病死であれ自死であれ、出来るだけ他患者へは知らせないようにするものだろう。 ところで、自殺現場の「角のトイレ」では怪異体験は私もなかったし、他患者もなかったが、「あそこはおかしい…

患者図鑑40 病院の怪談その3

小谷さんは、ご両親などのサポートもあり、精神的に大分持ち直して退院していった。 明るい顔で「離婚、成立しそうです!」と報告に来てくれた。 怪談の本題に戻ろう。自殺の話を出したのは、患者同士で雑談している時に、 何度もB病院に入退院を繰り返して…

患者図鑑39 病院の怪談その2

前回、北野氏の死因としてまず自殺を疑ったと書いたが、精神科在院患者の死因第一位は自殺というデータがある。 www.jstage.jst.go.jp 入院仲間でも自殺を試みた人は何人もいたし、入院中も一度自殺未遂があった。小谷さんという30代の女性だが、夫との不仲…

患者図鑑38 病院の怪談その1

気がついたら、記事数200超えてました\(^o^)/ 読んで下さる、来訪して下さる皆様のお蔭です。本当に有難うございます。 今回、暑いので怪談… という訳でもないのですが… 入院中、何気なく「B病院」で検索をしていたら「北野孝 B病院にて死去」 という記事…

患者図鑑37 病院ライブラリー

入院していた精神病院、B病院には図書コーナーがあった。と書くと、ミニ図書館のようだがそんなに大層なものではない。ようは入院患者が不要になった本を残して行ったものが、まとめて置いてあるだけだ。なので、ベストセラーになったような本ならば複数冊あ…

患者図鑑36 談話室の新聞

男子棟女子棟分かれているが、その間に談話室があり、そこは男女とも利用する事が出来た。面会者も病室のあるエリアまでは入れないので、ここで患者と面会する。 談話室にはソファ、テレビ、新聞が置かれていた。新聞は全国紙で毎日朝に当日の 物に変えられ…

患者図鑑35 栄光の架橋

患者が時間をつぶすのは「食堂」「談話室」「屋上」の三か所なのだが、 沢口さんという男性患者は、特別?な場所を許されていた。 病棟の裏のちょっとしたスペースがそこで、沢口さんがそこにいることは 彼の朗々とした歌声から知る事ができた。 沢口さんは…

患者図鑑34 倉石さんと巨大なリュック

榎さんの貴重品を手離さない話で思い出した。 utuutuyasuyasu.hatenablog.com 持ち歩きで言えば、もっと有名人がいた。倉石さんという男性患者だ。 男女で棟が分かれているので、倉石さんを見かける事はあまりになかった。 作業療法室でごくたまに、また屋上…

患者図鑑33 洗濯事情その2

屋上は男女ともに出入り出来、そこで談笑したり、ぼーっとしたり、いつも男女共に人がいる。 私は一応気を使い、下着類は見えない様、バスタオルの裏に干すとか、小物干しでぐるっとタオルを周りを囲んで干していた。 しかし中には堂々とショーツやブラジャ…

患者図鑑32 洗濯事情その1

各フロアに一台ずつ(男子棟に一台、女子棟に一台)洗濯機があり、各自洗濯が出来るようになっていた。 中には家族に洗濯物を持ち帰って貰っている患者もいたが、自ら行っている人の方が多かった。 洗濯機を回せるのは、起床時間から消灯時間の間。洗濯機の…

患者図鑑31 持ち歩きセーフティボックス

病室の床頭台には小さいセーフティーボックスがついていた。前の記事でも書いてきたがB病院は解放病棟で、主治医の許可さえあれば自由に外出・外泊出来たので、お金も必要なので手元においておく必要がある。各自セーフティーボックスで自己管理する事になっ…

患者図鑑30 お風呂事情その3

池野さんに「安井さん、湯船入ってる?」と聞かれた。「うん、毎回じゃないけど入ってるよ」と答えた。 「お勧めできないな。私は入ってないよ。それと足ふきマット気を付けて」と池野さんは言った。タオル等は各自用意する事になっていたが、唯一浴室から更…

患者図鑑29 お風呂事情その2

渡辺さんは双極性障害1型で入退院を繰り返している人だ。躁状態の時には 毎日のお風呂をとても楽しみにし、「A浴室が一杯で、Bになっちゃったー」 (A浴室の方がB浴室より若干広いので人気があった)「朝一の枠が取れたわ!」 など、良くはしゃいで話してい…

患者図鑑28 お風呂事情その1

今回はお風呂事情について。精神科は、内科や外科的疾患(手術や怪我、高血圧等)と違うので基本入浴に関する制限はなかった。 私が居た階の女子病棟のベッド数は約40。風呂は二か所にあった。ナースステーションに風呂申し込みの表がおいてあって、前日に自…

カンファレンス

主治医の五藤医師の診察の日、先日道で獅子谷医師とすれ違った事。こちらは 相手を見知っているから思わず挨拶したが、あちらは不審に思ったかもしれない という事を話した。 五藤医師は「獅子谷先生、勿論安井さんの事知ってるよ」 「この病院ね、定期的に…

ユニフォーム効果

B病院の数少ないイケメンの一人が獅子谷医師である事は書いた。 utuutuyasuyasu.hatenablog.com 前の記事に書きそびれたが、患者たちは彼の事を「イケメンのゴリ」と呼んでいた。 ゴリとは、バスケットボール漫画「SLAM DUNK」の登場人物赤木だ。漫画を読ん…

患者図鑑27 JKとJD

前の記事に書いたように、出勤する人もいれば通学する人もいる。ただ、 男性棟は分からないが女性棟の多くは私も含め、いわゆる「ニート」だった。 通学で見かけたのは女子高生と女子大生。女子高生は通学時間の関係、また部屋も違ったので殆ど話す機会がな…

患者図鑑26 バリキャリウーマン

病院なので、食事時間や門限はきっちり決められて患者はそれに沿って行動する事が求められる。 しかし例外があり、それは病院から通学・通勤している人だ。病院の朝食を待っていると遅刻してしまう場合もあるので、その人たちには簡単なパンと牛乳のような朝…

患者図鑑25 バカンス

患者の吉見さんは、ボブヘアの快活でお話好きな人だった。 良く食堂で患者仲間とけらけら笑い合っていた。打ち解けるようになって話を 聞くと、旦那さんと大学生の息子さんの3人暮らし。毎年9月くらいになると一か月くらい入院するのがお決まりだと言う。 …

病院での食事3 野菜と都市伝説

病院食についてはちょっと不思議な噂があった。 特定の時期、特定の野菜ばかりが出されるのだ。それも一般的なもの、例えばトマトやきゅうりでなくて ししとう、ズッキーニ、スナップエンドウと言ったちょっと変わった野菜がである。 勿論調理法は毎回変えて…

病院での食事2 魅惑のビュッフェ

刻みや減塩の他は同じメニューが並ぶ中、楽山さんだけは違う物が揃えられていた。 いわゆる高カロリー食品。例えばメイバランスのようなものだ。楽山さんはうつで 長く入院している。食べなくちゃと本人も思っているのだが、どうしても普通のご飯が喉を通ら…

病院での食事1 病院食

前回書いたように、病院食とは言え行事食は出る。お正月、ひなまつり、こどもの日、 七夕など。 utuutuyasuyasu.hatenablog.com とは言え、B病院はセレブ病院ではないので、病院食はプラスチックの容器に入っていて味もメニューもいわゆる「病院食」の域を出…

特別な夜の風景ー年越し

前2回にわたって書いたのは普段の夜の風景。既に書いたが、病院の消灯時間は9時。そしてそれを皆きっちり守っていたが、唯一の例外が大晦日だった。 消灯は元旦の0時となる。年越しそばなどの夕飯を食べたあと、紅白歌合戦の時間にテレビの前に集まる。も…

患者図鑑24 夜の風景その2

広く暗い食堂の端と端に二人は居た。目黒さんはかならず窓際に座り 何もいわずずっと真っ暗な外を見つめていた。 森さんはその対角線上の場所が定位置だった。目黒さんとは対照的に、立ったり座ったり、少し歩いてみたり。その二人しか食堂にいないのに、言…

患者図鑑23 夜の風景その1

病院の消灯は9時。トイレや廊下以外の電気は一切消され、以降は室内での 私語やスマホ操作等も禁止だ。時々看護師が見回りに来る。 私は不眠があり、その時は医師が指示してナースステーションに保管して ある頓服を飲むことになっていた。9時に消灯して2~…

患者図鑑22 婚活

B病院では男女で生活空間が完全に分かれているので、男性と会う機会はあまりなかった。作業療法か、もしくはまた別の機会に書こうと思うけれど皆が時間をつぶす屋上 くらいだ。 私は既婚者で、ボーイフレンドを作ろうなどと一片の関心もなかったが、女性患者…